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『マンキュー経済学 ミクロ編[第3版]』を分かりやすく説明する。Part7

こんにちは。

 

今日もさっそくやってみます。

 

昨日の続きからやっていきます。

 

 

第7章 消費者、生産者、市場の効率性

今までの章では、市場経済において需要と供給の作用がどのように材やサービスの価格と数量を決めるか、すなわち規範的な分析が主であった。

この章では実証的な分析、資源配分が経済的福祉に与える影響を研究する分野(厚生経済学)のトピックについて考えてみる。

 

 

消費者余剰

消費者余剰とは、ある財に対して買い手が支払っても良いと思っている金額から、実際に買い手が支払った金額を差し引いたもので、買い手が市場に参加することから得られる便益を測る尺度である。

例えば、あるアーティストのCDに対して、800円支払っても良いと思っている。しかし実際には650円で売っていたので購入した。この場合の消費者余剰は150円である。

ある財に対してそれぞれの買い手が支払っても良いと思っている最高額を支払許容額という。

 

消費者余剰を求めるには、需要曲線よりも下で価格よりも上の部分の面積を計算する。

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生産者余剰

生産者余剰とは、売り手に支払われた金額から生産に要する費用を差し引いたもので、生産者が市場に参加することから得られる便益を測る尺度である。

 

生産者余剰を求めるには、価格よりも下で供給曲線よりも上の部分の面積を計算する。

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総余剰

自由市場によって決定された資源配分が望ましいものかどうかを判断するための方法として、総余剰を測る方法がある。総余剰とは消費者余剰と生産者余剰の合計である。

 

消費者余剰=買い手にとっての価値-買い手が支払った金額

生産者余剰=売り手が受け取った金額-売り手の費用

なので、総余剰は上の2つを合計したものなので、

総余剰=(買い手にとっての価値-買い手が支払った金額)+(売り手が受け取った金額-売り手の費用)

買い手が支払った金額と売り手が受け取った金額は等しいので、

総余剰=買い手にとっての価値-売り手の費用

 

ある資源配分が総余剰を最大化している時、その配分は効率的であるという。

 

需要と供給の均衡は、消費者余剰と生産者余剰の合計を最大にする。市場の見えざる手により、売り手と買い手は資源を効率的に配分する。

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資源が効率的に配分されない時もある

以上に示したように、市場のそれぞれの売り手や買い手が自分自身の厚生にしか関心がなくても、見えざる手によって 需要と供給の作用は資源を効率的に配分する。

しかし、市場支配力外部性などの市場の失敗が存在すると、市場では資源が効率的に配分されない。

市場支配力とは、1人の売り手や買い手(あるいは少数の売り手や買い手)が市場価格をコントロールする能力のこと。

外部性とは、売り手と買い手の意思決定が市場にまったく参加していない人々にも影響を与える副作用のこと。

市場の失敗とは、規制されていない市場が資源を効率的に配分できないこと。

 

市場の失敗について、第7原理にも登場しているのでよかったら見てみてください。

 

pro-hero.hatenablog.com

 

 

本日はここまで。それではまた今度。

 

 

 

『マンキュー経済学 ミクロ編[第3版]』を分かりやすく説明する。Part6

 

 

こんにちは。

 

今日もさっそくやっていきます。

 

今日で第Ⅱ部も終わりです。

 

 

第6章 需要、供給、および政府の政策

この章では、政策についての問題について取り扱います。

最初に価格規制、次に税金について説明していきます。

 

価格規制

価格規制にはある財を販売できる価格の法的最高限度を設定する価格の上限(規制)と、ある財を販売できる価格の法的最低限度を設定する価格の下限(規制)がある。

 

価格の上限

価格の上限よりも需要と供給が釣り合う価格が低い場合、価格の上限は拘束力を持たない。しかし、価格の上限よりも需要と供給が釣り合う価格が高い場合、拘束力を持つ制約となる。政府が競争市場で拘束力を持つ価格の上限を設定すると、財の不足が生じ、売り手は多数の潜在的な買い手に対して希少な財を割りあてなければならない。

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価格の下限

価格の下限よりも需要と供給が釣り合う価格が高い場合、価格の下限は拘束力を持たない。しかし、価格の下限よりも需要と供給が釣り合う価格が低い場合、拘束力を持つ制約となる。政府が競争市場で拘束力を持つ価格の下限を設定すると、需要量が供給量を下回り、財の余剰が発生する。

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税金について

政府は道路、学校、国防など公共事業のための収入を税金によって調達している。

まず、税金が経済にどのような影響を与えるか説明する。政府がある財に課税するとき、その税を実際に負担するのは買い手なのか、売り手なのか。あるいは、どのような割合で売り手と買い手が分担して負担するのか。経済学の用語で、税の負担が経済を構成するさまざまな人々の間にどのように割り振られるかを税の帰着という。

 

売り手に対する課税

政府がある財に売り手に対して0.5ドル課税するように義務づけたとする。これは売り手と買い手にどのような影響を受けるのか。

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買い手に対する課税

政府がある財に買い手に対して0.5ドル課税するように義務づけたとする。これは売り手と買い手にどのような影響を受けるのか。

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以上の図で示されたように、売り手と買い手は税を分担して負担する。税の帰着は、その税が売り手に課税するのか、買い手に課税されるのかに依存しない。

 

弾力性と税の帰着について

ある財に税が課されると、その財の売り手と買い手は税を分担して負担するが、税は正確にはどのように負担されるのだろうか。

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以上の図のように税の帰着は需要と供給の価格弾力性に依存する。その負担の大部分は、市場のなかで弾力性が小さい側にかかる。これは、弾力性の小さい側は税に反応して売買の量を変えることが簡単にできないからである。

 

 

今日はここまで。それではまた今度。

『マンキュー経済学 ミクロ編[第3版]』を分かりやすく説明する。Part5

こんにちは。

 

今日もさっそくやってみます。

 

昨日の続きからやっていきます。

 

 

第5章 弾力性とその応用

弾力性とは

弾力性とは、売り手と買い手が市場の状態の変化に対してどれだけ反応するかを示す尺度である。

 

第4章で説明したように、需要の変化要因として、通常需要量が増えるのは、その財の価格が下がった時、消費者の所得が増えた時、その財の代替財の価格が上がった時、その財の補完財の価格が下がった時である。

 

 

需要の価格弾力性

需要の価格弾力性とは、価格の変化に対して需要量がどれだけ反応するかを測る尺度のことで、需要量が価格の変化に対して大きく反応する時、その財の需要は弾力的であると言える。需要量が価格の変化に対してわずかしか反応しない時には、その財の需要は非弾力的であると言える。

また、密接な代替財を持つ財ほど、需要の弾力性が大きくなる傾向がある。たとえば、マーガリンの価格が一定であれば、バターの価格が少し上昇しただけでも、バターの売上げは大幅に減少する。

さらに、必需品と贅沢品について、必需品の需要は非弾力的であり、贅沢品の需要は弾力的であるという傾向がある。たとえば、今や必需品となったスマホは価格が上がったとしても需要が大幅に減少することはないでしょう。逆にヨットの価格が上昇すると、ヨットの需要は大幅に落ち込む。(※買い手の選好にもよる)

 

需要の価格弾力性は以下の式で求められる。

需要の価格弾力性=需要量の変化率/価格の変化率

たとえば、財の価格が10%上昇したため、財の需要量が20%減少した。

需要の価格弾力性=需要量の変化率/価格の変化率=20/10=2

(財の需要量は価格に対して負の関係を持つので、符号は異なるが負の符号はすべて落とす(絶対値表記))

 

需要曲線上にA点(4ドル、120個)、B点(6ドル、80個)という点があるとする。

A点からB点に移動する時、価格は50%上昇し、数量は33%減少してるので、33÷50=0.66...になる。

一方、B点からA点に移動する時、価格は33%減少し、数量は50%上昇してるので、、50÷33=1.51...になる。

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この違いを解決するための方法に、中間点の方法がある。基準点を2つの点の平均にするもの。

この方法を使うと、上の例の需要の価格弾力性は下の図のようになる。

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経済学者は、弾力性によって需要曲線を分類し、弾力性が1よりも大きいとき需要は弾力的である。弾力性が1よりも小さいとき需要は非弾力的である。弾力性が1の場合には需要は単位弾力的である。弾力性が0の場合には需要は完全に非弾力的であり、逆に弾力性が∞の場合には需要は完全に弾力的である。

以上の5つのパターンを図示する。(pは価格、qは数量とする)

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総収入とは

総収入とは、財の買い手が支払う金額であり、財の売り手が受け取る金額でもある。どの市場においても、総収入は財の価格に販売量を掛けたもの、P×Q。

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経済学者は、市場での買い手の行動を説明するのに、需要の価格弾力性以外の弾力性も用いる。

 

需要の所得弾力性

需要の所得弾力性…消費者の所得が変化するときに、需要量がどのように変化するかを測定する。

需要の所得弾力性=需要量の変化率/所得の変化率

第4章で説明したように、大部分の財は正常財なので、所得が高くなるにつれて需要量は増加するので、正の所得弾力性を持つ。劣等材は負の所得弾力性を持つ。

 

需要の交差価格弾力性

需要の交差価格弾力性…ある財の需要量が他の財の価格の変化に対してどのように反応するかを測定する。

需要の交差価格弾力性=第1財の需要量の変化率/第2財の価格の変化率

第4章で説明したように、代替財は一方の価格が上昇すると、もう一方の需要量が増加するので、正の需要の交差価格弾力性をもつ。逆に補完材は一方の価格が上昇すると、もう一方の需要量が減少するので、負の交差価格弾力性を持つ。

 

供給の価格弾力性

供給の価格弾力性とは、価格の変化に対して供給量がどれくらい反応するかを測る尺度である。

供給量が価格の変化に対して大きく反応するとき、その財の供給は弾力的である。供給量が価格の変化に対してわずかしか反応しないときには、供給は非弾力的である。

供給の価格弾力性=供給量の変化率/価格の変化率

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今日はここまで、それじゃあまた今度。

今回は図が多くて大変でした😂笑

 

『マンキュー経済学 ミクロ編[第3版]』を分かりやすく説明する。Part4

こんにちは。

 

今日から「第Ⅱ部 市場はどのように機能するか」です。

 

なんかいよいよ経済学っぽくなってきましたね😂

 

さっそくいってみましょう。

 

 

第4章 市場における需要と供給の作用

市場とは

市場とは、一つ一つの財・サービスにおける売り手と買い手の集まりのことである。

競争市場とは、多くの売り手と買い手が存在していて、1人の売り手や買い手が市場価格に影響を及ぼさないような市場のこと。

本章では、市場が完全競争的だと想定する。この状態になるには2つの特徴を持ってなければならない。①販売されている財はすべてまったく同じ。②売り手と買い手が多数存在するので、市場価格に影響を及ぼすような単独の売り手も買い手も存在しない。

完全競争的社会において、売り手も買い手も市場で決まった価格を受け入れるしかないので、彼らは価格受容者(プライス・テイカー)と呼ばれる。

しかし、財やサービスのすべてが完全競争市場で販売されているわけではない。売り手が一つしか存在せず、その売り手が価格を決めている市場もある。そのような売り手のことを独占企業という。

 

 

需要とは

需要量とは、買い手が買いたいと思い、かつ買うことの出来る量のことである。財の価格が上昇すると財の需要量は減少し、価格が低下すると需要量は増加する。このように、価格と需要量との間の相関関係は、経済にあるほとんどの財について成立する。この関係を需要法則という。

そして、ある財の価格と需要量の関係を表す表(ひょう)を需要表と呼び、価格を縦軸、需要量を横軸にとったグラフのことを需要曲線という。

どの価格においても需要量を増やすような変化は需要曲線を右方にシフトさせることになり、需要の増大と呼ぶ。逆に、どの価格においても需要量を減らすような変化は需要曲線を左方にシフトさせることになり、需要の減少と呼ぶ。

 

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需要曲線をシフトさせる要素は以下のようなものが挙げられる。

所得…所得が下がるとほとんどの財は需要が減少する。(※1)

関連する財の価格…例えばレッドブルの値段が半分になったらモンスターエナジーの需要は減少する。(※2)

嗜好(好み)…例えばタピオカが流行った時、需要が増大した。

期待(予想)…流行りが終わって値段が下がると予想した時、みんな買わなくなって需要は減少する。

買い手の数…消費者が増えると需要は増大する。

 

※1 所得が減少したときに需要が減少する財のことを正常財といい、所得が減少したときに需要が増大する財のことを劣等材という。劣等財として麦やジャガイモなどが挙げられる。所得が減少したとき、主食が米から麦飯になるなど。

※2 一つの財の価格が下落すると別の財への需要が減少するとき、その二つの財は代替財といい、一つの財の価格が下落すると別の財への需要が増大するとき、その二つの財は補完材であるという。代替財にはレッドブルモンスターエナジー、ホットドッグとハンバーガーなどがある。補完材にはパンとバター、野球のボールとバットなどがある。

 

 

供給とは

供給量とは、売り手が売りたいと思いかつ売ることのできる量のことである。財の価格が上昇すると財の供給量は増加し、価格が下落すると供給量は減少する。このように、価格と供給量との間の相関関係は、経済にあるほとんどの財について成立する。この関係を供給法則という。

そして、ある財の価格と供給量の関係を表す表(ひょう)を需要表と呼び、価格を縦軸、供給量を横軸にとったグラフのことを供給曲線という。

どの価格においても供給量を増やすような変化は供給曲線を右方にシフトさせることになり、供給の増大と呼ぶ。逆に、どの価格においても供給量を減らすような変化は供給曲線を左方にシフトさせることになり、供給の減少と呼ぶ。

 

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供給曲線をシフトさせる要素は以下のようなものが挙げられる。

投入価格…財を生産するための材料費や人件費が高くなると供給量は減少する。

技術…自動製造機などの技術開発が行われると供給量は増大する。

期待(予想)…これからヒットすると予想されるものの供給量は増大する。

売り手の数…売り手が減ると供給量は減少する。

 

 

需要と供給

需要曲線と供給曲線の交点のことを市場均衡点という。市場均衡点における価格を均衡価格、数量を均衡取引量という。均衡価格においては、買い手が買いたいと思うかつ買うことのできる財の量と、売り手が売りたいと思うかつ売ることのできる財の量とが、正確に釣り合っている。均衡価格は、市場清算価格(マーケット・クリアリング・プライス)と呼ばれることもある。

 

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また、市場価格が均衡価格を上回る時、供給量が需要量を上回る。つまり、財が余っている(余剰)状態である。この余剰の状態を超過供給という。下の図のaの状態。

逆に、市場価格が均衡価格を下回る時、需要量が供給量を上回る。つまり、財が不足している状態である。この不足の状態を超過需要という。下の図のbの状態。

 

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今日はこんな感じで。じゃあまた今度。

 

 

 

 

 

 

『マンキュー経済学 ミクロ編[第3版]』を分かりやすく説明する。Part3

こんにちは。

 

今日もさっそくやってみます。

 

昨日の続きからやっていきます。

 

 

第3章 相互依存と交易(貿易)からの利益

この章は第1章の第十原理のうち、「第5原理:交易(取引)はすべての人々をより豊かにする」に関係してそうですね。

人々が財・サービスの供給を他の人々に依存することを選ぶのはなぜか。

農夫と牛飼がそれぞれ1日8時間働くとする。それぞれが牛肉とジャガイモを生産し、8時間の生産できる牛肉とジャガイモの量は以下の図。

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農夫は8時間で牛肉は8単位、ジャガイモは32単位、牛飼は8時間で24単位ジャガイモは48単位。これを生産可能性フロンティアで図示すると以下になる。

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たとえば、2人がA点とB点で示される組み合わせを選んだとしよう。(農夫が牛肉を4単位、ジャガイモを16単位。牛飼が牛肉を12単位、ジャガイモを24単位。)

 

ここで、農夫と牛飼が取引を行う取り決めをして、農夫が牛肉を0、ジャガイモ32、牛飼が牛肉を18、ジャガイモ12生産し、(それぞれC点、D点)牛肉を牛飼から農夫へ5単位、ジャガイモを農夫から牛飼へ15単位提供する。

また、生産したものを全て消費するとして、利益を数値で計算する。

すると、以下の図のようになる。

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上の図を見ると、たしかに取引によってお互いに利益があるが、なぜこのような現象が起こるのでしょうか。

この例において、牛飼と農夫のどちらがジャガイモをより低い費用で生産できるのだろうか。

 

絶対優位とは

この場合、時間が費用となり、ジャガイモ1単位を生産するのに、農夫は15分かかり、牛飼は10分かかる。

農夫は8時間(480分)で32単位生産できるので、480÷32=15 つまり、農夫は15分でジャガイモを1単位生産できる。

牛飼は8時間(480分)で48単位生産できるので、480÷48=10 つまり、牛飼は10分でジャガイモを1単位生産できる。

つまり、時間で費用を測る限り、牛飼の方がジャガイモの生産する費用が低い。

このように、ある財を生産するときに、より少ない投入量しか必要としない生産者はその財の生産に関して絶対優位を持っているという。

 

比較優位とは

ジャガイモの生産費用を考えるのに、他に機会費用を考える方法がある。

機会費用とは第1章で説明しましたが、あるものを獲得するために放棄したもののこと

牛飼は、ジャガイモを8時間で48単位生産できるので1単位を10分で生産できる。また、牛肉を8時間(480分)で24単位を生産できるので10分で牛肉1/2単位(24÷48=1/2)生産することができる。つまり、牛飼のジャガイモ1単位に対する機会費用は牛肉1/2単位である。

一方、農夫は、ジャガイモを8時間で32単位生産できるので1単位を15分で生産できる。また、牛肉を8時間で8単位生産できるので、15分で牛肉1/4単位(8÷32=1/4)生産することができる。つまり、農夫のジャガイモ1単位に対する機会費用は牛肉1/4単位である

つまり、ある財を生産するのに他の財を少ししか放棄しない生産者は、その財の生産における機会費用が小さいことになり、その財の生産に関して比較優位を持つという。

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牛肉の機会費用は同様に以下のようになる。

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ひとつの財の機会費用はもうひとつの財の機会費用と逆数の関係にあるので、ひとつの財の機会費用が相対的に高い人は、必ずもうひとつの財に関して相対的に低い機会費用を持つ。

 

ここで、本題に戻るが交易による利益は、絶対優位ではなく、比較優位に基づくものである。各人が比較優位を持っている財の生産に特化すれば、経済の総生産は増加し、経済の規模が拡大し、すべての人の生活水準の向上に役立つ。

また、取引をする両者が利益を得るためには、取引の価格は両者の機会費用の中間になければならない。

この例で言えば牛肉の機会費用をジャガイモ2単位から4単位の間になければならない。

 

第3章のまとめはこんな感じです。なんか敬体と常体が混ざっちゃった。

じゃあまた今度。

 

 

『マンキュー経済学 ミクロ編[第3版]』を分かりやすく説明する。Part2

こんにちは。

 

今日もさっそくやってみます。

 

昨日の続きからやっていきます。

 

 

第2章 経済学者らしく考える

経済学において、物理学や生物学と同じように現実を単純化することによって現実への理解を深めるためにモデルが存在します。

〇第1のモデル:フロー循環図

フロー循環図とは、経済の構造やその参加者が相互に関わりあうのかを説明するモデルのことです。

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フロー循環の2つのループのうち、内側のループは投入と産出のフロー(流れ)を表しています。家計は、所有する労働、土地、資本の使用権を生産要素市場で企業に販売する。企業は、それらの生産要素を用いて、財・サービスを生産し、財・サービス市場で家計に販売する。外側のループは対応するお金のフロー(流れ)を表しています。家計は企業から財・サービスを購入するためにお金を支払う。企業はそれらの販売によって得た収入の一部を、労働者の賃金などの生産要素に対する支払いにあてる。

 

〇第2のモデル:生産可能性フロンティア

利用可能な生産要素とその生産要素を用いて生産物を生み出すのに利用可能な生産技術とを与えた場合に、経済が生産できる生産物のさまざまな組合せを示すグラフを生産可能性フロンティアと呼ぶ。

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曲線の内側が生産可能領域を表していて、線がその境界である。C点は生産不可能な点で、Dは非効率な状態を表している。生産可能性フロンティアは技術進歩などにより外側にシフトすることもある。

 

 

ところで、この著書のタイトルにもある通り、経済学にはミクロ経済学マクロ経済学がある。

ミクロ経済学とは家計や企業の意思決定と、特定の市場におけるそれらの相互作用を研究するもの、マクロ経済学とは経済全体に関わる現象を研究するものである。

 

しばらくはこのうちミクロ経済学を説明していきますね。

 

実証的な主張と規範的な主張

一般的に、社会についての意見は実証的な主張規範的な主張の2種類に分けることができる。

実証的な主張とは社会がどのようになっているかについての主張で、規範的な主張は社会がどうあるべきかについての主張である。

実証的な主張と規範的な主張の違いは、正しさを判断できるかにある。実証的な主張は、原則として、証拠を吟味することで肯定したり否定したりできる。一方、規範的な主張を評価するには、事実だけでなく価値観も必要になる。そしてこの2つは根本的に異なるものであるが、相互に結びついている。

 

今日はここまで。第2章は具体的なお話が多かったので短くなりました。それじゃあまた今度。

『マンキュー経済学 ミクロ編[第3版]』を分かりやすく説明する。Part1

こんにちは。

 

さっそくやってみます。

 

第Ⅰ部 インストラクションからやっていきます。

 

 

第1章 経済学の十大原理

そもそも経済の意味について考えてみます。

経済の語源は、もともと中国にあった「經世濟民(けいせいさいみん)」という言葉から転用したもので、明治以降に日本で作られた経世済民(けいせいさいみん)」を省略した言葉です。「世を治めて民を救う」という意味です。

 

 

経済学…社会が希少な資源をいかに管理するのかを研究する学問です。

→経済学者は、①社会で人々がどのように意思決定するのか、②社会の人々はどのように影響しあうのか、③経済は全体としてどのように動いているのか、の3つを研究します。

 

経済学とは、どのような学問であるか把握するための十大原理を、以上の①~③に分けて説明していく。

 

①社会での人々の意思決定に関する原理

〇第1原理:人々はトレードオフ(相反する関係)に直面している

トレードオフとは自分の好きな何かを得るためには、たいてい別の何か好きなものを諦めなければならないということで、意思決定とは一つの目標と別の目標との間のトレードオフを意味します。

たとえば、学生は自分の持っている時間をゲームに費やしてしまうと好きな女の子とデートする時間を諦めることになりますよね(笑)

社会も効率(性)と公平(性)との間のトレードオフにも直面しています。効率とは、「社会が希少な資源から最大限のものを得ている状態」で、公平とは「資源から獲得したものが、社会の構成員の間にバランスよく分配されていること」です。たとえば、公平性に照らして富裕層から貧困層へ政府が所得を再分配すると、貧困層の労働へのインセンティブ(誘因)を弱めてしまいます。しかし、貧困層は無視されるべきではないです。

 

〇第2原理:あるものの費用は、それを得るために放棄したものの価値である

人々が意思決定する際に、さまざまな行動の費用と便益を比較することが必要です。あるものを獲得するために放棄したもの(費用)を、そのものの機会費用といいます。これは見えない形でかかる費用で、「ある行動をとった時、その行動によって得た利益と違う行動をしていれば、手に入れられていたであろう最大の利益の差額」のことです。

 

〇第3原理:合理的な人々は限界原理に基づいて考える

経済学者は通常、人々は合理的であると想定していて、合理的な人々は限界的な便益と限界的な費用とを比較して選択をしています。合理的な人々とは自分の経済的利益を最大化するよう意思決定する人で、経済学における「限界」とは増加分のこと。限界的な便益とは財を1つ買うことで得られる満足度を金銭的な大きさに置き直したもので、限界的な費用とは1つだけ余計にその財を購入する時にかかる費用の増加分のことです。

 

〇第4原理:人々はさまざまなインセンティブ(誘因)に反応する

インセンティブ(誘因)とは、懲罰や報酬のように、人々に何らかの行動を促す要因のことです。

たとえば、シートベルトを義務づけた法律は人々にシートベルトをさせたり、賃金を支払うことでアルバイトをさせたりといったことですね。

 

②人々はどのように影響しあうのか

〇第5原理:交易(取引)はすべての人々をより豊かにする

他の人々と取引することにより、各自の得意分野の専門家になることを可能にし、はるかに多様な財・サービスをより安く買えるようになり、人々を豊かにしています。

人々の欲望を充足させるもののうち、財とは有形物で、サービスとは無形物です。

 

〇第6原理:通常、市場は経済活動を組織する良策である。

市場とは人が集まり商いを行う場所であり、市場経済では人はそれぞれ己の利益のために動こうとするが、市場という目に見えない調整機能が働いて、 世の中の経済はうまく回る。これを1776年に出版された「国富論」において、アダム・スミスはまるで「見えざる手」によって導かれているかのように、望ましい結果に到達していると表しました。

 

〇第7原理:政府が市場のもたらす成果を改善できることもある

では、その見えざる手があるのに政府が必要なのでしょうか。

理由は2つあり、1つ目は市場経済にとって重要な制度を政府が維持し、ルールを作るためです。たとえば、警察や裁判所が犯罪を取り締まったりや権利を保護したりするものです。

2つ目は見えざる手は、強力だが全能ではないということです。効率性という観点で言うと、市場が自分の力で資源を効率的に配分するのに失敗することがある(市場の失敗)。市場の失敗を引き起こす原因に外部性市場支配力などがあり、これらが存在する場合、政府による適切な公共政策によって経済効率を高めることができます。公平性の観点で言うと政府の公共政策によって、経済的福祉のより平等な分配を実現させます。

外部性…ある人の行動が周囲の人の経済的な厚生(人間の生活を健康な豊かなものにするもの)に与える影響

  市場支配力…小集団が市場価格に対して実質的に持っている影響力

 

③経済は全体としてどのように動いているか

〇第8原理:一国の生活水準は、財・サービスの生産能力に依存している

国や時代によって生活水準に大きな格差や変化は各国の生産性の違いによるものです。生産性とは、1人の労働者が単位時間あたりに生産する財・サービスの量のことです。生産性の高い労働者が多い国ではほとんどの人が高い生活水準を得ることができるし、生産性の低い労働者が多い国ではより低い生活水準を甘受しなければいけないということです。

 

〇第9原理:政府が紙幣を印刷しすぎると、物価が上昇する

政府がその国の貨幣供給量を大幅に増やすと、貨幣の価値は下落する。そうすると貨幣と交換する財・サービスの価格は上昇するということである。このように価格が全体として上昇することをインフレーション(インフレ)といいます。その逆がデフレーション(デフレ)といいます。

 

〇第10原理:社会は、インフレと失業の短期的トレードオフに直面している

貨幣量の増大は、全体としての支出を刺激し、財・サービスへの需要を増大させる。

高い需要によって企業は価格を引き上げるが、その途中で雇用を増やし、財・サービスの生産を増大させる。

雇用の増加は、失業の減少をもたらす。

 

このようにインフレと失業の減少は表裏一体の関係ということです。

 

 

 

 

第1章のまとめ

経済学には基本的な考え方があり、多様なケースに適用することが可能な学問です。

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明日は第2章をまとめようかな。じゃあまた今度。