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『マンキュー経済学 ミクロ編[第3版]』を分かりやすく説明する。Part12

こんにちは。

 

今日もさっそくやっていきます。

 

今日で第Ⅳ部も終わります!

 

 

第12章 税制の設計

これまでの章で、ある財への課税がその財の需要と供給にどのような影響を及ぼすのかをみてきた。

第6章では課税によって市場における販売量が減少することをみて、売り手と買い手の間の税の負担が需要と供給の弾力性に依存してどのように割り振られるかを検討した。

 

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第8章では税が経済厚生にどのような影響を与えるかを検討し、課税が死荷重を発生させることを学習した。すなわち、課税の結果生じる消費者余剰と生産者余剰の減少は、政府が得る収入を上回る。

 

 

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この章では税制の設計を議論するため、課税の基本的原理を考察する。

 

 

税と効率

税制の主要な目的は政府収入を得ることであるが、目標とする金額を調達するにはさまざまな方法がある。代替的な税制が多くあるなかからある税制を選択するにあたって、政策立案者は効率と公平という二つの目的を持つ。

同じ額の収入を調達する場合、納税者にかかる費用が小さければ小さいほど、税制は効率的である。納税者にとっての費用として、いちばんはっきりした費用は税の支払いそのものである。しかし、税には他にも以下のような2つの費用がかかり、上手く立案された租税政策は、この2つの費用をなくしたり、最小化したりしようとする。

1.税が人々の意思決定を歪めるときに生じる死荷重

2.納税者が税法に従うときに負う管理負担

 

効率的な税制とは、死荷重と管理負担が小さいものである。

 

死荷重

税はインセンティブを歪めるので、死荷重を発生させる。課税による死荷重とは納税者の経済厚生の減少分が西部の収入額を上回ることである。死荷重は人々が売買する財・サービスの真の費用や便益ではなく、税のインセンティブに応じて資源を配分するようになるために、税によって生み出される非効率である。

 

管理負担

税法に従うために費やされる資源は、一種の死荷重である。政府が手にするのは支払われる税額のみである。一方、納税者は税額だけではなく、記録や計算、または節税に要する時間とお金を失っている。

 

限界税率と平均税率

所得税の効率と公平について議論する際、経済学者は平均と限界の二つの税率概念を区別する。平均税率とは税額の総額を総所得で割ったもの、限界税率とは所得が1単位増加したときの税の支払いの増加分である。

納税者がどれだけ犠牲になっているかを測りたいときには、所得に占める税の支払いの割合を測る平均税率がより適している。一方、税制がどれだけインセンティブを歪めるか測りたいときには、限界税率の方が意味を持つ。

 

一括税

すべての人が収入や自分のとる行動に関係なく同じ額を税金として支払うような税を一括税という。

政府が全ての人に一律4000ドルの税を課したとする。所得が2万ドルの納税者にとって、4000ドルの一括税は20%の平均税率になる。所得が4万ドルの納税者にとって、4000ドルの一括税は10%の平均税率になる。

所得が増えても支払う税額は変化しないので、どちらの納税者も限界税率は0である。

人々の意思決定によって支払金額が変わることがないので、課税によってインセンティブが歪められることはなく、したがって死荷重は発生しない。したがって一括税は最も効率的な税である。

しかし、現実の世界ではめったに見られない。その理由は効率は税制の一つの目的にすぎないからである。

一括税は貧しい人からも豊かな人からも同一額を徴収することになるが、その結果をほとんどの人々は不公平だと考えるだろう。

 

税と公平

必要な財・サービスの一部の供給を政府に頼るのであれば、誰かが税を負担しなければならない。この節では税制の公平について考える。税制が公平であるかどうかはどのようにして評価すればよいのだろうか。

 

応益原則

応益原則と呼ばれる課税原理の一つは、人々が政府サービスから受ける便益に基づいて税を支払うべきであるというものである。

 

応能原則

税制の公平を評価するもう一つの方法は応能原則と呼ばれ、どれだけの負担ができるかに応じて課税されるべきであるというものである。

応能原則は、垂直的公平と水平的公平という公平の概念の二つの系につながっている。垂直的公平とは、高い支払能力(担税力)を持つ納税者は、多くの金額を供出すべきだということで、水平的公平とは、同じような担税力を持つ納税者は、同じ金額を供出すべきだということである。

 

垂直的公平

もし税が担税力に基づくのであれば、豊かな納税者は貧しい納税者よりも多く支払うべきである。しかし、豊かな人はどれくらい多く支払うべきなのだろうか。

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上の図の三つの税制について考察してみる。どの税制においても、高所得者の納税者ほど支払金額が多い。第1の制度は、すべての納税者が所得の一定割合を支払うために比例税といわれる。第2の制度は高所得の納税者のほうが高額の税金を支払うが、所得に占める割合が小さくなるために逆進税といわれる。第3の制度は、高所得の納税者ほど税金が所得に占める割合が大きくなるために累進税といわれる。

 

水平的公平

もし税が支払能力に基づくのであれば、同じような納税者は同じような額の税を支払うべきである。しかし、2人の納税者が同じかどうかは何によって決まるのだろうか。各家庭は多くの点で異なる。税法が水平的に公平であるか動画を評価するには、どの違いが世帯の支払能力と関係があり、どの違いが関係ないのかを決めなければならない。

こうした問題に対する簡単な答えはなく、実際に所得税は家庭の置かれている状況に基づいてその税額を変える特別な条項がたくさんある。

 

 

まとめ

政策立案者は税法の変更を考える際、しばしば効率と公平との間のトレードオフに直面する。租税政策についての論争の多くは、人々がこの二つの目的を置くウエイトが異なることから生じる。

 

 

今日はここまで、それじゃあまた。次回は「生産の費用」について