『マンキュー経済学 ミクロ編[第3版]』を分かりやすく説明する。Part9
こんにちは。
今日もさっそくやっていきます。
今日で第Ⅲ部が終わります!
この本は第Ⅶ部で終わるのでそろそろ半分だ〜😂笑
第9章 応用:国際貿易
第3章で相互依存と交易(貿易)は、より多くて多様な財・サービスをすべての人々が享受できるようになるので、望ましいことであると結論づけた。
第3章を知らない人はこちらから。
貿易の輸入国、輸出国の決定の仕方
貿易がない時の均衡は、 以下の図のようになる。
自由貿易が認められた場合、世界市場で売り手になるか買い手になるかは国内の価格と世界市場で成立する世界価格を比較することで確定できる。
国内価格の方が低い場合には、その国がその財の生産に比較優位を持つので、輸出国になる。国内価格の方が高い場合には、外国がその財の生産に比較優位を持つので、輸入国になる。
世界価格>国内価格 → 輸出国
世界価格<国内価格 → 輸入国
貿易による輸出国と輸入国の消費者、生産者への影響
輸出国の利益と損失は以下の図のようになる。
貿易前の消費者余剰はA+B、生産者余剰はCになる。
貿易後の消費者余剰はA、生産者余剰はB+C+Dになる。
貿易によって消費者余剰はBだけ減少する。つまり、国内の消費者の厚生は悪化する。
貿易によって生産者余剰はB+Dだけ増加する。つまり、国内の生産者の厚生は改善する。
総余剰は貿易前がA+B+C、貿易後はA+B+C+Dなので、貿易によってDだけ増加する。つまり、Dは貿易利益を表している。
利益を得る者(生産者)の利益(B+D)が損失を被る者(消費者)の損失(D)を上回るので、貿易はその国の経済的福祉を向上させる。
貿易による輸入国と輸入国の消費者、生産者への影響
輸入国の利益と損失は以下の図のようになる。
貿易前の消費者余剰はA、生産者余剰はB+Cになる。
貿易後の消費者余剰はA+B+D、生産者余剰はCになる。
貿易によって消費者余剰はB+Dだけ増加する。つまり、国内の消費者の厚生は改善する。
貿易によって生産者余剰はBだけ減少する。つまり、国内の生産者の厚生は悪化する。
総余剰は貿易前がA+B+C、貿易後はA+B+C+Dなので、貿易によってDだけ増加する。つまり、Dは貿易利益を表している。
利益を得る者(消費者)の利益(B+D)が損失を被る者(生産者)の損失(B)を上回るので、貿易はその国の経済的福祉を向上させる。
関税について
次は、輸入財への課税、関税について考える。
関税の影響は以下の図のようになる。
上の図は世界価格が国内均衡価格よりも低い場合、輸入国になる。関税は財の輸入価格を関税の分だけ世界価格よりも高くする。
関税は価格を上昇させるので、国内需要量をQD1からQD2に減少させ、国内供給量をQS1からQD2に増加させる。したがって、関税は輸入量を減少させ、国内市場を貿易前の均衡に近づける。
関税による利益と損失
自由貿易の下では、国内価格は世界価格に等しくなる。
関税が課される前の消費者余剰は需要曲線と世界価格との間の面積であり、A+B+C+D+E+Fの面積になる。生産者余剰は供給曲線と世界価格との間の面積であり、Gの面積になる。総余剰はA+B+C+D+E+F+Gの面積になる。
関税が課された後の消費者余剰はA+Bの面積となり、生産者余剰はC+G、政府の税収は関税後の輸入量と関西の大きさの積、Eの面積になる。したがって、総余剰はA+B+C+E+Gの面積になる。
市場の総余剰はD+Fの分だけ減少する。この総余剰の減少は関税の死荷重と呼ばれる。
国際貿易のその他の利益
国際貿易によって輸入国も輸出国もその国の経済的福祉を向上させる。
他にはどのような利益をもたらすのでしょうか。
①財の種類の増加…別々の国で作られた財は、たとえ同じ種類であったとしたもまったく同じ財というわけではない。自由貿易は、すべての国の消費者に、財の選択肢の増大という恩恵をもたらす。
②規模の経済を通じて費用の低下…財のなかには、大量生産した場合のみ少ない費用で生産できるという特性を持つ財が存在する。この現象を規模の経済という。
③競争の激化…外国の競争相手から保護されている企業は市場支配力を持ちやすく、市場支配力を持つ企業は、競争均衡価格よりも高い価格を設定する力を持つ。貿易の開始は競争を促進し、アダム・スミスのいう見えざる手がその魔法を駆使する機会を増やす。
④すぐれた知識の流入の促進…技術進歩の世界中への伝播は、しばしば進歩した技術を具現化した財の貿易と関連があると考えられる。
貿易制限を支持する議論
①雇用の議論…外国との貿易によって国内の雇用が失われると主張される。しかし、自由貿易は雇用を喪失させると同時に雇用を創出する。その国ではその国の比較優位を持つ産業に移動する。貿易による利益は絶対優位ではなく、比較優位に基づいている。
②安全保障の議論…例えば、他国に鉄鋼の供給に依存していた場合、戦争が勃発した時、自衛に必要な武器や鉄鋼を生産できないと主張される。経済学者も、国家安全保障について正当な重要性があるときには、重要な産業を保護することが適切かもしれないことは認めている。しかし、経済学者はこの議論が消費者を犠牲にして利益を追求する生産者たちにあまりにも安易に用いられる可能性があることを危惧する。軍も消費者であるという視点からみてみると、輸入から利益を得るだろう。
③幼稚産業論…新しい産業は、その産業の立ち上げのために一時的な貿易制限が主張される。しかし、どの産業が利益をもたらすかを判断するか難しい。また、長期的に利益を得られると信じられる理由があるとすると、企業の所有者は最終的な利益を得るために、一時的な損失を喜んで負うべきである。
④不公正競争…自由貿易が望ましいのは、全ての国が同じルールの下にあるときのみで、異なる国の企業が異なる法律や規制下にあるときには、国際市場における企業の公正な競争は期待できないと主張される。例えば、助成された価格である財を買うことは、輸入する国の生産者は被害を受けるがその分消費者は便益を得る。つまり、自由貿易のケースとまったく変わりがない。
以上のように貿易制限を支持するさまざまな議論がある。これらの議論のなかには、状況によってはメリットを持つものもあるが、経済学者は通常、自由貿易のほうがよい政策であると考えている。
本日はここまで。今回は写真も多いし、文字数も多いし、骨の折れるブログでした🤧🤧
それではまた今度!